Aug. 19, 2003 トロント国際映画祭、日本映画リスト

毎年盛大になっていくToronto International Film Festivalも今年で28回目で9月4日から13日まで開催される。今年はどんな有名人が来るかそれも楽しみ。予定ではニコラス・ケイジ、二コール・キッドマン、デンゼル・ワシントンなどが来るらしい。今回も336の作品、55ヵ国から参加。日本関係(合作含む)の映画は現時点で12作。日本未公開作品もあるので、日本にいる人より一足早く日本の作品が見れる。チケット購入方法は、今からだとシングルチケットまたは当日各映画館にならんで購入のどれか。シングルチケット(14.50ドル)については9月3日限りの発売。すでにこの時点で7月に先行チケット買っている人が購入済みによりSold outの映画もあるので、ご了承を。必ずBox Office(午前9時から午後7時だが、午前9時にはすでに長蛇の列)に買いに行くこと。このチャンスも逃したという人は当日にラッシュチケットと言って、映画館に行ってチケットがあまっていたら購入できる可能性がある。チケットが完売の場合のこのラッシュチケットは劇場でならんで待つと席が空いている限り入れてくれる。人気の映画はもう並んでも入れないことがあるが、結構みんな当日ならんでも見れているよう。

今年注目は北野武監督の「座頭市」をはじめとして、日本を震撼させた恐怖映画「呪怨」、黒沢清監督の「アカルイミライ」などだろう。ただ、TCでも以前お伝えしたが、カミングセンチュリー(V6の)が主演した映画「COSMIC RESCUE」がエントリー決定と日本のニュースに出ていたが、公表された今現在の公式サイトのリストには見当たらない...。

日時、場所の詳しい完全リストは26日に当TCニュース上で発表予定。

Box Office:College Park, Market Level, 444 Yonge St. (地下鉄College駅のモールの中Yonge側の南)

<日本映画のご紹介>

●「Antenna/アンテナ」
日本公開2004年春公開予定
監督:熊切和嘉
出演:加瀬亮、小林明実ほか
解説:ネットコラムニストの田口ランディさん原作のベストセラー小説の映画化。妹が15年前に失跡したトラウマを抱えて生きる青年が、知り合ったSMクラブの女王様によって心を解放していく異色の人間ドラマ。

「Ramblers/ばかのハコ船」
2002年/1時間51分 日本ではR-18指定(日本公開2003年4月)
監督・脚本:山下敦弘
出演:山本浩司、小寺智子、木野花、笹野高史ほか
解説:東京で事業に失敗し500万円の借金作ってしまった大輔と恋人の久子。事業を立て直そうと大輔の実家の田舎に帰るが誰も相手にしてくれず、途方に暮れた二人は田んぼに囲まれた町でぶらぶらと暮らす日々。監督は「どんてん生活」で期待の新人と世界でも高い評価を受けた山下敦弘。今回は2作目の作品。注=英題と日本語題が一致してないので、違っているかも...。(^^;)

「Shara/沙羅双樹」
2003年/1時間39分(日本公開2003年7月)
監督・脚本:河瀬直美
音楽:UA
出演:福永幸平、兵頭祐香、生瀬勝久、樋口可南子ほか
解説:奈良に暮らす麻生家は代々の墨職人。ある夏の日麻生家の双子の兄弟の圭と俊が遊んでいると圭が行方不明となる。その後5年後17歳になった俊はトラウマを抱えたまた幼馴染み夕に恋い心を抱く。地元のバサラ祭の準備が忙しくなる頃、警察が圭が見つかったと告げに来る。『萌の朱雀』(1997年)で、カンヌ映画祭カメラドール(新人監督賞)を史上最年少で受賞する鮮烈なデビューを飾り、続く『火垂(ほたる)』(2000年)では生と死の物語を四季を通じて織りあげた河瀬直美監督が、三たび故郷の奈良を舞台に描く最新作『沙羅双樹(しゃらそうじゅ)』。

●「Vibrator」

監督:廣木隆一
出演:
解説:英題と日本語題がマッチしないのでどれか分りません。(;_;)

「Ikiru/生きる」
1952年/1時間23分
監督:黒沢明
脚本:黒澤明、橋本忍、小国英雄
出演:志村喬、伊藤雄之助、小田切みき ほか
1954年ベルリン国際映画祭(ドイツ上院陪審賞)
解説:定年間近い公務員の課長渡辺は毎日ハンコを押す単調な仕事を30年続けて来た。しかし、彼が胃ガンであと余命が少しと知り「生きる」ことに気付く。人生とは何かを問う素晴らしい黒沢監督黄金時代の傑作作品の一つ。これはTC管理人も大変好きな日本映画の一つ。ほんとに素晴らしい作品。見てない人はぜひこの機会に見てほしいし、ハリウッドでリメーク版の話もある。

「Zatoichi/座頭市」
2003年/1時間55分 R-15指定(2003年9月6日日本公開)
監督・脚本・編集:北野武
出演:北野武、浅野忠信、柄本明、夏川結衣ほか
解説:2003年第60回ベネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品でもある、北野武の話題の最新作「座頭市」がトロントでも出品。彼の演技も見物。

「Gozu/牛頭」
2003年/1時間09分(2003年7月11日よりDVD発売のVシネマ)
監督:三池崇史
出演:曽根秀樹、哀川翔、吉野公佳、火野正平、加藤雅也、丹波哲朗ほか
解説:ヤクザホラー映画。独自の解釈を許容する作品の奥深さは批評家からも注目を浴びつづけている三池崇史監督の最新作。監督の作品を見たマリリン・マンソンを会いたいといいしめたことから、どんな独創的な作品を作りあげる人が分るだろう。ストーリーはとにかくヤクザにホラー。(^^;) 公式サイトでチェックしてくれ。

「The Grudge/呪怨」
2002年/1時間32分(2003年1月日本公開)
監督:清水崇
出演:奥菜恵、伊東美咲、上原美佐、市川由衣
解説:このホラー映画は日本のホラー映画史上一番恐いとされ、恐怖の連鎖を日本中に引き起こした有名作品。すでに8月末に日本ではパート2が公開され、ハリウッドがリメーク版を製作中という話題の作品。老人介護のボランティアで郊外の一軒家を訪れた女子大生が見た淀んだ黒い影、屋根裏でうごめく女の霊、振り返ると立っている白い顔の子供…、やがてそれらは関係する者を次々と戦慄で凍らせ、底なしの暗黒世界へと引き摺り込んでいく。99年清水崇監督によりビデオ「呪怨」が口コミで人々に広がり、遂に映画化となった作品。

「Bright Future/アカルイミライ」
2002年/1時間32分(2003年1月18日日本公開)
監督・脚本・編集:黒沢清
出演:オダギリジョー、浅野忠信、藤竜也、りょう
主題歌:THE BACK HORN
解説:カンヌを沸かせた回路から2年。世界が待望する黒沢清監督『アカルイミライ』がトロントに出品。トロントは黒沢監督贔屓でも有名なので、この作品が出品というのは当然だろう。雄二と守はおしぼり工場の同僚。行き場のない苛立ちを抱える雄二に、まぁ待て、とストップをかける穏やかな守。雄二にとって守は唯一心を許せる相手だった。ある夜、雄二は突然暴力的な衝動に駆られ、おしぼり工場の社長宅へ鉄パイプを持って押し入る。だがそこは既に血の海で、その中には倒れている夫婦の死体があった。そしてその夜から守の行方がわからなくなっていた…。20代の青年と中年男の世代間の断絶を通して、現代に生きる若者像を描き出している。日本上映版は1時間55分だが、海外バージョンがあり、たぶんこのトロント用も今年のカンヌで上映された1時間32分バージョンだと思われる。シーンの順番を大胆に入れ替えたディレクターズカット。

「Nine Souls/ナイン・ソウルズ」
2003年/2時間(2003年7月19日日本公開)
監督・脚本:豊田利晃
出演:原田芳雄、松田龍平、千原浩史ほか
解説:「青い春」('02)の豊田利晃監督最新作。世間から隔絶されたある刑務所。偶然見つけた穴から脱走に成功した9人の男たち。目的がある者、勢いで脱獄した者。さまざまな想いを抱えながらも、彼らは1台のバンに同乗し、富士山麓の小学校に隠された大金を目指す。しかし、苦労の末、ようやく辿り着いた先で見つけたのは大金ではなく、小さなガラスの鍵だった。ガセネタだとわかり途方に暮れる9人。だが、旅を続けるうち、彼らの心には生まれて初めての充実感と新たな決意が生まれていた。そして9人の旅の目的は、それぞれが囚われる前にやり残したことへの決着へと変わっていく。果たして彼らの決着とは…。

●「Last Life in the Universe」
2003年日本公開予定
監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン
脚本:ペンエーグ・ラッタナルアーン、プラーブダー・ユン
撮影:クリストファー・ドイル
出演:浅野忠信、Sinnita Boonyasak、Laila Boontasak、三池崇史ほか
解説:タイ・日本・シンガポール・オランダ・フランスの5ヵ国合作。「わすれな歌」のペンエーグ・ラッタナルアーン監督と撮影はクリストファー・ドイル。タイと日本・大阪を舞台にアジアン・ミックスな話題作。監督・三池崇史が本作でも俳優として参加。バンコクに住むケンジはヤクザの一人を意図せず殺してしまい、同じ日に意図せず妹死なせたノーイが一緒に見を隠す。そしてその3日間の間に反発しあいながらも愛するようになる。

●「OSAMA/アフガン・零年」
NHKの制作支援作品/アフガン、イラン、NHK共同製作(日本での劇場公開は未定)
監督:セディク・バルマク
解説:2003年第56回カンヌ国際映画祭で、NHKが国際共同制作したこの「アフガン・零年」〜OSAMA〜が新人監督に与えられる「カメラドール特別賞」を受賞。また併せて「CICAE賞」と「カンヌ・ジュニア賞2003」も受賞した。タイバン政権下でのアフガンは音楽・テレビ・映画を楽しむことを禁止していたので、政権崩壊後20年振りの映画をNHKが製作支援した作品。バルマク監督はモスクワの大学で映画を学んだ。タリバン政権下では難民として、パキスタンなどに逃れていて、新しい政権になったのち帰国、この作品を製作・監督した。物語は、タリバン政権下に生きる少女が主人公。当時、女性は男性と一緒でなければ外出も出来なかったため、父親や男兄弟を失った少女は男の子に姿を変え、過酷な状況下で生きていこうとする姿を描いた作品。


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